メメント森の熊

新卒で県庁に入り、2年半公務員として働いた後、スタートアップ企業に転職してフルリモート勤務をしています。アクセサリーを作って販売もしています。ここは私のスケッチブック。

『ボタン938』、これを肴に酒が飲めるボタン写真集

 フィです。「読んで見て楽しい本」企画。ストレスフルな毎日を生きる私たち、というか私、は、もともと本を読むのは大好きですが、作中の人間関係がしんどかったり、心をえぐられて更に疲れてしまうこともしばしば。そんな精神状態でも眺めて楽しく幸せな気分になれるような、いわゆる「おかゆ本※」をどんどん読んでシェアしていこうという企画です。

※「おかゆ本」とは、フィがTwitterで見かけた「おかゆ作品」という言葉を気に入って本に当てはめたもの。もともとの「おかゆ作品」は、見てもしんどくならない、傷つきにくい、ダメージを受けにくいおいしいものや可愛いもの、きれいなものを扱っている映画のことみたいです。

今回ご紹介するのはこちら。小坂直子さんの『ボタン938』。

酒がすすむ度     ★★★★☆
新しい世界を知れた度 ★★★☆☆
おかゆ度       ★★★★★

ボタン938

ボタン938

 

 東京、東神田にあるCO-(コー)という、アンティークボタンの専門店をやっている小坂直子さんという方が2005年に出された本です。

文庫本よりちょっと大きいくらいのサイズで、持ちやすいですが、結構な厚みがあります。表紙がシンプルかつとても可愛いです。内容は膨大なアンティークボタンの写真と、その解説が簡潔に。

Amazonのレビューを読んでいると、「ストイック」という言葉がありましたが、ぴったりだと思いました。プラスチック、金属、自然物、その他の素材、と素材別でアンティークボタンが紹介してあります。

正直ボタンで本を作るなんてそんなに面白くなるか?と思いつつ、表紙の可愛さにひかれて手に取ってみたのですが、最初のページのテリアの形のリアリスティックボタンにもう心を撃ち抜かれました。かんわいい…。

可愛いだけでなく、ボタンについてのたくさんの語彙を知れたのも面白かった。動物や花、その他なんでも、モノをかたどったボタンは「realistic」、丸いボタンに絵が描いてあるものは「picture-bottun」、などなど。また、ベークライトという素材で作られたボタンの色を「アップルジュースカラー」と呼ぶことを知り、なんて素敵な言葉なんだと思いました。笑

適当にジャケ買いのような感じで選んだボタン本ですが、もはやこれを見ながらちまちまお酒が飲めるレベルでしみじみと楽しい本です。また、おかゆ度も最高評価の5。これを読んで傷つく人がいるのが想像できませんでした。

印象的だった言葉もあります。「アンティークボタンはその材料という性質ゆえに、創造する力がある」というもの(原文ママではありません)。たしかにアンティークボタンは、過去の記憶をまとったものであるとともに、材料として未来の服やアクセサリーへつながる力も持っています。でも、こんなことって、アンティークボタンを見つめ続けないと言えないですよね。

唯一疑問なのはなぜ938なのかということだけど、これは単純に登場したボタンの数ということなのかなぁ?あぁ、CO-に行ってみたくなった。