平野紗季子『生まれたときからアルデンテ』、食は自由だ!才能に嫉妬するくらいすきになった
フィです。新企画、「読んで見て楽しい本」。ストレスフルな毎日を生きる私たち、というか私、は、もともと本を読むのは大好きですが、作中の人間関係がしんどかったり、心をえぐられて更に疲れてしまうこともしばしば。そんな精神状態でも眺めて楽しく幸せな気分になれるような、いわゆる「おかゆ本※」をどんどん読んでシェアしていこうという企画です。
※見てもしんどくならない、傷つきにくい、ダメージを受けにくいおいしいものや可愛いもの、きれいなものを扱っている本のこと、と定義する。
今回ご紹介するのはこちら。平野紗季子さんの『生まれたときからアルデンテ』。
食べ物への目線がアップデートされる度 ★★★★☆
平野さんの才能に嫉妬する度 ★★★★★
今まで平野さんのことよく知らなくて、最初は彼女のポッドキャスト「味な副音声」というのを聞き始めて、おもしろいな~食べ物のことをこんなに面白くおいしそうに味わい深く語れるこの平野さんは何者なんだろう、と思って、このたび本を読んでみたら。
頭の中にうかんだフレーズは「天才現る」でした。この本だしたの23歳?!悔しい、悔しいよ…(謎に張り合おうとしてしまう)。
食べ物のことばっかり書いてあるのですが、食べ物だけじゃなくて?もっと全体の、店の内装、雰囲気とか、その日の気分とか、天気とかまで、ひっくるめて全部見逃さずに詩にしている感じ。で、結果的に登場する食べ物みんな、自分のフィルターを通してだけでは絶対に体験できないくらいおいしそうに感じられる。
中身のレイアウトも、無造作にメモみたいに印刷された文章と、ときどきの写真が、スクラップブックみたいで、たのしいです。あと、一冊を通して強く感じられた「食は自由だ!」というメッセージ。どんな食べ物に対して何を感じても良い、という当たり前のことを気づかされて、ハッとしました。本書にもあったように、雑誌やインスタなんかで、それを食べる前からその料理についてめちゃくちゃ詳しくなっていることが普通の今。もっと集中して味わって、その結果自分感覚ではまずくても、体験としては豊かじゃんね、と心が軽くなりました。
べしょべしょのナポリタンに敵対心を持ってたりするのも、食べ物ならなんでも愛してしまうわけではないんだな~とわかってよい。
たのしいよ!おすすめだよ!何なら私の文章に対する気持ちにも若干影響を与えてる!
巻末についていた食メディアのなかでこれらも気になる