若林恵(編集)『次世代ガバメント』読んだ
若林恵(わかばやし けい)さん編集の、『次世代ガバメント』という本を読みました。久しぶりにめちゃ良い本に出会えたなと思いました!うれしい!
紙のムック本バージョンがかっこいい&かわいい
まず何よりも、ムック本のたたずまいのクールさに「おっ」と思いました。
※ムック本とはMagazineとBookの合わさった造語で、雑誌のような単行本という意味。
デザインされたのは藤田博美さんというグラフィックデザイナーの方です。
藤田さんのインスタから、本の写真を引っ張ってきました。
めっちゃ良くないですか?笑
オレンジと紫?紺?のコントラストがおしゃれで、字体もかわいい。
何より、読んでいくと分かるのですが、本書の大きなテーマであるデジタルの、「ひとつ作れば無限に増殖することができる」という特性と、さらにその中の多様性や遊び心を端的に表している素晴らしいデザインだと思いました!
さらにさらに、これは実物を手に取ってみないと分からないのですが、表紙の紙質もマットなつるつる?(名前が分からない)で、私好みの紙質。Kindleじゃなくて紙バージョンをぜひ手元に置きたい、と思いましたが、もう新たに出版されていないのか、Amazonではめっちゃ値上がりしている。。。
クールなデザインの本が大好きなのでつい熱くなってしまいます…。このまま藤田さんのファンになりそう。とりあえずインスタはフォローしました。
表紙だけでなく、中身のレイアウトや、ところどころで入る写真もおしゃれで見やすくて好きでした。全体的にオレンジと群青色が基本のカラーになっています。
デジタルで「小さくて大きい政府」をつくる
肝心の内容は、デジタルを使っていかに小さくて(最小限の人力で)大きい(最大限の効果を出す)行政府を作れるか、ということについて、インタビュー形式で書かれていました。個人的に自分の興味と重なっていて面白いなと思ったのは、以下の二つでした。
①SNSは一見、無限に広がる世界っぽいが、よく考えると本来的に「広がると同時に閉じていく性質」を持っており、自治体のようなものと相性がいい。コミュニティSNS(Slackのようなものも)や地方自治体SNSは理にかなった発想。メンバーが流動しながらも固定している(特定できる)ため。
↑最近トランプ大統領がTwitterから追放されましたね笑。日本でTwitterはインフラ同然になっています。行政府とSNSは相性が良い、というのは言われてみれば確かになあ~と思いました。
②日本ではNPOやNGOといったいわゆるソーシャルセクター(非営利セクター)の組織が弱い=就業者の比率が低い。具体的にはイギリス、アメリカの半分くらい。行政サービスのラストワンマイル(実行)はこういった組織が行うようになっていくのが望ましいかも。行政はニーズを聞き、調整する係に注力。
↑こちらも自治体のリソースをどこに割くかに関わってくる大事な話ですね。「世界でもっとも成功している会社は株式会社とは限らない」という話も納得感がありました。
カニエ・ウエストさんのコラムも面白かった
この本は頻繁にコラムが出てくるのですが、特に面白かったものが、カニエウエストさんの近況について。私、彼のことよく知らないのですが(スニーカーで大儲けしている歌手?程度)、2019年ごろからキリスト教に傾倒し、今ではワイオミング州に農場を買って、音楽を中心に据えた共同体をつくろうとしているらしいです。なんだそれは、と思いましたが、コミュニティーをいかに作るかって、上手な個人のカリスマ性から学んでいかないとだめだと思うのですよね。好む好まざるに関わらず、コミュニティを作っていくことが大切な時代になっていくようですしね…
これからもっとマシな世の中にするにはどうしたらいいんだろう、と思った人におすすめ
この本は『アフターデジタル』の上級者向け行政版、ともコメントされていて、その通りだと思います。公共セクターの人が今自分のやっていることを位置づけたり、今後どうなっていくと良い感じなのか、ひとつの方向性を与えてくれる感じ。なので基本は公務員対象の本になるのでしょうが、単純に未来を考えるためのとても面白い材料になる本だと思ったので、より幅広にいろんな人に手に取ってほしいと私はおもいました。
あと、若林恵さん編集のWiredや、藤田さんデザインの他の本にも興味が出てきた。めずらしく読書欲が高まってる…!